CCUSとは建設キャリアアップシステムのことをいいます

平成31年4月から本格運用が開始され、技能者の資格や社会保険の加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録、蓄積する仕組みです。建設業界では現場の急速な高齢化と若者離れといった課題があります。建設業界が将来にわたって重要な役割を果たしていくためにはこの課題を克服し若手の確保、育成を推進していく必要があります。

建設業の技能者は様々な現場で経験を積んでいくため個々の技能の能力が統一的に評価されにくく、役割や能力が処遇に反映されにくいという環境にあります。技能者の技能と経験に応じた適正な評価や処遇を受けられる環境を整備しなければならないところから建設キャリアアップシステムが構築される事になりました。

建設キャリアアップシステムのメリット

建設キャリアアップシステムの利用は建築業者、技能者双方にメリットがあります。システムの導入により建設業者としては現場管理の効率化、技能者としては処遇改善に期待ができます。システムが全体に普及されることで若い世代へのイメージアップ、施主対する交渉力アップ、真に実力がある企業が選ばれる透明性の高い市場への変革が期待されます。

構築の背景

担い手の確保は全産業に共通する課題です。
建設業の現場を担う技能者、とりわけ若年層の入職を進めるためには、他産業と 比べて生涯を通じて魅力的な職業、産業であることを目に見える形で示していくことが大切です。

建設業の現状

生産労働者の年齢別賃金ピークが、製造業全体は50~54歳であるのに 対し、建設業は45~49歳と、5年ほど早く到来しています。
これは、本人の現場管理や後進の指導育成といったスキルが適切に評価されていない可能性があると考えます。
また、建設技能者は、異なる事業者の様々な現場で日々働いているため、個人を 能力評価する業界横断的な統一の仕組みが存在せず、本人のスキルアップが処遇の向上にはつながっていかないという業界の構造的な問題があります。

CCUSのポイント

CCUSは、技能者が本人であることを確認したうえでシステムに登録し、IDが付与されたCCUSカードを交付することがスタートになります。
その上で、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのかを就業履歴として電子的に記録・蓄積します。
並行して資格の取得や講習の受講履歴など、技能・研鑽の記録を登録します。
CCUSに登録された情報を元に、一人ひとりの技能者の評価が適切に行われ、処 遇の改善に結びつけること、さらに人材育成に努め優秀な技能者をかかえる専門工事業者の施工能力を見える化することで、建設業界が健全に維持されることを目指しています。

期待されること

CCUSは建設業界の制度基盤です。その効果を十分に発揮していくためには、行政・業界一体となった取組が不可欠です。
 CCUSには、一人ひとりの技能者の情報が蓄積されていくことになります。
蓄積する情報を活用して技能者が能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、技能者を雇用する専門工事業者の施工能力の見える化を進める枠組みをつくることが、将来にわたって建設業の担い手を確保するための重要な課題になっていくと考えています。

投稿者プロフィール

下井 正規
下井 正規下井行政書士事務所