専任を要しない主任技術者の配置については、2つの工事現場の距離制限はありますか・・・

3,500万円(建築一式は7,000万円)未満の工事であれば、主任技術者は専任の必要はなく、距離制限は特にないといえます。

この距離制限に関して地方裁判所と高等裁判所で見解が分かれたケースについて簡単に紹介します。

平成 19 年 8 月 23 日判決(大津地裁民事部)では営業所から現場まで70キロも離れていて

実質的に営業所の専任技術者の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制が整っているということは困難である

との見解を示したのに対して・・平成 20 年 4 月 17 日判決(大阪高裁第5民事部)は

高速道路を利用すれば、控訴人の本店営業所から1時間で移動できる範囲にあり、電話の転送やメールを活用して工事現場から営業所に連絡することも容易であること、本件工事のうち照明灯の点検は夜間に実施し、照明灯の球換えは月5,6日が常態であり、営業所の仕事に大きな影響を及ぼすものではないことが認められることからすると、本件工事は近接性の要件を満たす可能性が極めて高いと言わなければならない。

と見解を変えています。

単に物理的な距離だけでなく実際の環境を考慮した判決を下したと言えるでしょう!!

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下井 正規
下井 正規下井行政書士事務所