こんにちは!!行政書士の下井です今回は今まで書き連ねてきた記事の中からいくつかの記事を抜粋、再編集して新規許可をスムーズに取得すするために必要な書類や抑えておかなければならない要件などをまとめてみました。全てを網羅するわけではございませんが参考の一つにしていただければと思います。

まずは取りたい許可の種類を把握しよう!!

建設業許可には”とび‥電気‥内装‥”といった許可の業種以外にいくつかの種類に分別されます・・いわゆる”大臣許可と知事許可” ”特定建設業の許可と一般建設業の許可”の二つの種類に分けられます。

大臣許可と知事許可

まず大臣許可と知事許可の違いですがこちらは一つの自治体にのみ営業所(建設業の請負契約の締結をしたり見積を行ったりすりする場所)を置く場合は知事許可、大臣許可は二つ以上の都道府県にまたがって営業所を置く場合にそれぞれ必要となります。

特定建設業の許可と一般建設業の許可

次に特定建設業と一般建設業ですが特定建設業は

発注者から直接請け負った1件の建設工事につき、下請代金の合計額が4,500万円(税込)以上(建築一式工事は7,000万円(税込)以上)となる下請契約を締結して施工する場合に必要となり下請け代金がそれ以下の場合は一般建設業の許可で足ります。特定建設業は元請けの立場で金額の高い請負工事を下請施工させることができるため一般建設業許可よりも厳しい申請要件が適用されます。

まずはご自身の会社がどの種類で申請するかを確認してみましょう!!

千葉県の知事許可で許可を取得した場合は埼玉や茨城など他県での工事は出来ませんか?

他県の工事であっても問題なく工事は出来ます。知事許可、大臣許可の要点はあくまで営業所をどこに置くかという事なので工事を施工する場所は関係ありません。

元請けの工事金額が4,500万以上なんだけど全部自分の会社で施工する場合でも特定建設業の許可が必要?

その場合は一般建設業の許可で問題ありません。あくまでも下請けのして他社に発注する金額が4,500万円(税込)以上(建築一式工事は7,000万円(税込)以上)の場合に必要となります。

絶対抑えておこう!!許可取得に必要な5つの要件

次に許可申請には絶対に欠かせない5つの要件を確認しましょう!!

許可を受けるためには、下記の要件を満たしていることが必要です。
(1) 「建設業に係わる経営業務の管理を適正に行うに足る能力を有すること」
(2) 「専任技術者」を営業所ごとに置いていること
(3) 請負契約に関して誠実性を有していること
(4) 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有すること
(5) 欠格要件等に該当しないこと

この5つの要件すべてを満たす必要があります。近道や裏技などは一切無いという事を大前提に一つずつ確認していきましょう!!

(1)「建設業に係わる経営業務の管理を適正に行うに足る能力を有すること経営業務の管理責任者

建設業は国の大事なインフラを担う重要な産業です…経営能力が足りずに破綻・廃業といった事態は避けらなければなりません!!したがって建設業許可の申請にあたってはそれなりの経営能力や経験値が求められます・・具体的には

・これまでに5年以上、会社で取締役以上の経験、若しくは個人事業主としての経験を有する事

・これまでに5年以上、建設業を行っていた会社の取締役若しくは個人事業主としての経験

・申請会社での常勤役員であること

が主な必要な要件となります。取りたい業種でなくてもOK!あくまで建設業を経営する経験と能力が求められます。 (イ該当2・3 ロ該当の説明は今回省きます)

(2) 「専任技術者」を営業所ごとに置いていること

経営業務の管理責任者が建設会社の経営部門の顔であると言えるなら技術部門に関しては専任技術者がそれにあたると言えるでしょう!!専任技術者とは営業所において建設工事に関する請負契約の締結・履行、見積等を行う専門知識を有する人の事を言います。専任技術者の要件として・・・

取りたい業種に該当する資格を有する人

・取りたい業種に対応する指定学科を卒業学科+実務経験3年か5年以上

・取りたい業種での実務経験10年以上

以上の要件にあたる人が専任技術者として登録する事が可能です。

(3) 請負契約に関して誠実性を有していること

法人にあっては法人役員等、支店長など従たる営業所の代表者及び支配人が、個人にあっては事業主支配人が請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

(4) 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有すること

・申請日の直前の決算期において自己資本(貸借対照表の純資産の合計)が500万円以上であること。

・500万円以上の資金調達能力があること。(銀行の残高証明など…証明日から一か月以内のもの)

*上記は一般建設業の場合であり特定建設業の場合はさらに厳しい要件を満たす必要があります。

(5) 欠格要件等に該当しないこと

・破産者で復権を得ていないもの

・認知症等で意思の疎通が適切にできない者・不正な手段だ許可を得たことによりその許可を取り消され、その取消の日から5年経過していない者。営業停止や禁止を命じられその期間が経過していない者

・禁固以上の刑に処されその刑が終わり又は、執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者

・次の法律の規定に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けること
がなくなった日から5年を経過しない者
ア 建設業法

イ 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、
労働者派遣法の規定で政令で定めるもの
ウ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
エ 刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰
に関する法律
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
・暴力団員等がその事業活動を支配している者

この5つ要件はどれか一つ欠けても許可を得ることができません!!

会社を興してが3年しかないのですが個人事業主として2年以上建設業を営んでいました…この場合は経験を合算できますか?理

はい!!合算できます。法人での役員経験と個人事業主時代の経験を合算して5年以上の経験があれば経営業務の管理責任者としての要件を満たします。また、自身の会社以外でも他の法人(建設業)で取締役以上の経験があればそちらもカウントできます。

取締役ではないけれど執行役員としての経験は認められますか?

執行役員は取締役ではありませんが“準ずる地位”として認められる場合もあります。しかしその為には執行役員等の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあること、業務執行を行う特定の事業部門が許可を受けようとする建設業に関する事業部門であること、取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任された者であること、執行役員等として経営管理経験の期間が確認できるものなど全て証明、確認する書類が必要となります。申請前に必ず土木事務所に問い合わせる事をお勧めします。

経営業務の管理責任者と専任技術者は同じ人でも大丈夫?

はい!!経営業務の管理責任者と専任技術者は兼務できます。むしろ技術者の少ない会社さんは出来る限り兼務できる状態にしておくことを推奨します。なぜなら・・突然、専任技術士者がケガ、事故等で常勤できなくなったり退職されてしまった場合は許可が飛んでしまいます!!できる限り経営者様で対応できる状況にしておくことがベストです!!

必要書類をもれなく揃えよう‼

許可申請のスピードが変わるのが間違いなく必要書類を揃えられるスピードでしょう!!

書類は大まかに分けると会社に属する物と個人に属する物の二つに分けられます。

ご準備いただく書類等部数備考
会社に関する資料y  
定款の写し1部目的にキチンと業種を営む旨の文言
履歴事項全部証明書1部発行より3ヶ月以内 法務局で取得
法人事業税の納税証明書1部県税事務所で取得
財産的基礎を確認するための書類いずれか預金残高証明書 500万円以上 直前期の決算書にて自己資本が500万円以上であること。
健康保険の加入等の確認資料いずれか1部a保険料の支払いが確認できる領収証書等の写し(直近のもの) b厚生労働省が発行する社会保険料納入証明(申請)書(3 か月以内)又は 年金事務所長が発行する社会保険料納入確認書(3 か月以内)の原本
雇用保険の加入証明各1部労働保険概算・確定保険料申告書」(受付印があるもの)の写し 及び 領収済通知書の写し 振替納付のお知らせ(ハガキ)の写し(直近のもの)
建物の所有等の状況を確認できる書類 事務所の賃貸借契約書(写)(登記上の所有者と異なる場合のみ
工事経歴書1部前事業年度に完成した建設工事 業種ごとに13件以上
直前3年の各事業年度における工事施工金額1部業種ごと 公共、民間分ける
財務諸表各1部貸借対照表、損益計算書、 完成工事原価報告書  株主資本等変動計算書  注記表  附属明細表
営業の沿革  
主要取引金融機関名  
営業所の実態の確認資料 ・営業所の外部…建物の全景及び営業所の案内板を写したもの ・営業所の内部…営業所内部の状況が確認できるもの
人に関する資料 経営業務管理責任者  
役員全員の身分証明書各人1部禁治産宣告・破産者でないことの証明 市区町村窓口
役員全員の登記されていないことの証明書各人1部成年被後見人・被保佐人でないことの証明 法務局
常勤役員等略歴書1部 
経営業務の管理責任者に関する確認資料 (常勤性の確認)各1部健康保険被健康保険者証の写し ・本籍地記載の住民票(発行後3カ月以内、マイナンバーの記載のないものに限る) 市区町村
経営業務の管理責任者に関する確認資料 (建設業を営んでいた事の証明)5部相手方の代表者の印のある契約書(社判は不可)1年につき1件 5年分相手方の印の無い契約書、注文書又は請書、請求書を1年につき1件+入金の確認のできる物の写し
人に関する資料 専任技術者  
専任技術者に関する確認資料 
(実務経験 証明資料)
相手方の代表者の印のある契約書(社判は不可)1年につき1件 10年分 ② 相手方の印の無い契約書、注文書又は請書、請求書を1年につき1件+入金の確認のできる物の写し 10年分
有資格者は資格証 卒業学科で短縮する場合は卒業証明書と履修科目証明書
専任技術者に関する確認資料
(専任性の確認書類)
 ・健康保険被健康保険者証 ・本籍地記載の住民票(発行後3カ月以内、マイナンバーの記載のないものに限る) 市区町村

当事務所ではヒアリングの際に上記リストをもとに資料収集をお願いしております。上記以外にも場合によっては追加で資料をお願いする場合がございます。

決算書入力をスムーズに行えるように準備しよう!!

新規申請には直近の貸借対照表 損益売計算書、株主資本等変動計算書、注記表…等が必要となります。

注意していただきたいのは、決算の時に税理士さんに作っていただいた決算書をそのまま提出するのではなくその決算書を建設業用に作り変えなければなりません。工事に掛かった原価を纏める完成工事原価報告書の作成や建設工事以外の収益がある場合は建設業と兼業と売り上げを分ける必要があります。

この完成工事原価報告書や売り上げの分配できているとヒアリング等の時間を省くことができ申請に係る時間を短縮する事ができます。

稀に工事に掛かる人件費等がうまく振り分けられていないと県庁から補正の依頼が来ることがあります。

請け負った工事内容をデータ化しておこう‼

提出書類の中に直前期の工事経歴書と直前3期分の工事金額を提出する必要があります。

直前期に関しては請負金額の大きい順に明細を13件、申請する業種ごとに作成します。(業種ごとの請負件数、合計金額も算出しておくこと)

直前3期分に関しては合計金額だけですが業種ごとに元請け、下請けを分けておく必要があります。

日頃からExcelなどに明細を入力しておく事でスムーズに件数や金額を記入する事ができます。

以上申請に必要な最低限必要な項目を記入させていただきました。この他にも証明に必要な確認書類などまだまだ必要な書類はございますがそちらは別の記事にてアップさせていただきます。

投稿者プロフィール

下井 正規
下井 正規下井行政書士事務所